「NFTが売れた〜!」
うれしいですよね。
飛び跳ねますよね。
ただ、収益が上がれば、やってきます。
そう、税金。
本記事は、以下のような疑問を解決します。

- NFTの売上ってどのタイミングで課税されるの?
- 子どもの絵が売れたけど…確定申告はどうする?
- イーサリアムのガス代(手数料)は経費になる?
上記の疑問を解明すべく、京都の税理士法人be代表・篠田直大先生にお話をうかがいました。
多くの企業の税務顧問を務め、経営コンサルタントもしている、やり手の先生。
※追加情報:男前。5児の父。

答えてもらったのは『NFTの税金』に関する下記5つの疑問。
疑問①:NFT作品が売れた!税金が、かかるタイミングはいつ?
疑問②:子どもの作品が売れたら子ども名義で確定申告すべき?
疑問③:仮想通貨の売り上げと、現金の経費は相殺できるのか?
疑問④:ガス代(手数料)は、経費になるか?
疑問⑤:NFTの転売利益は、譲渡所得になる?
NFTを始められた方、すでに収益があがっている方、気になる項目が多いのではないでしょうか。
では、さっそく税理士先生にぶつけていきます!
NFTの税金:①作品が売れた!税金がかかるタイミングは?


NFTで税金がかかるタイミングを教えてください!
売れたとき? 円への換金のとき?

基本的には売れて、データが相手に渡ったとき、納品基準ですね。
デジタルなので入出金と同時に購入者に商品が渡ると思いますが、その瞬間ですよね。

NFTを納品して得た仮想通貨を円換算したものに、税金がかかる感じですか?

まず第1段階。
NFTが売れて100万円のイーサリアム(ETH)を得たと。
そこで経費がかかっていなければ100万円のなんらかの所得になります。
その100万円のイーサリアムを円に換金するときに、イーサリアムが110万円になっていたとします。10万円利益出てますよね。
その値上がり分10万円に対しても、仮想通貨の雑所得がかかります。

つまり仮想通貨の価格変動によっては二重で税金がかかると。
日本円換金時にイーサリアム(ETH)が下がっていた場合は?

NFTの売却が雑所得である場合は、雑所得のマイナスです。
売り上げ時点のイーサリアム価格が100万円だったとして、換金時に90万円になっていたら10万円の損が出ているので、「100万-10万=90万円」が雑所得となります。
ただ年をまたいだら、相殺はできないですよ。

もう一つ、課税タイミングがありますね。
NFTを買ったときの課税も考えられます。

NFTを買ったときにも税金が取られるんですか?

たとえばイーサリアム(ETH)が50万円の時、1ETH買いましたと。
イーサリアムでNFTを購入したとき1ETH75万円でしたと。
その時、イーサリアムをNFTに交換しているわけじゃないですか。
50万円でイーサリアムを買って、75万円でイーサリアムを売ったと。
25万円儲けたわけですよね。
NFTを買ったとき、その差額で課税が起こる可能性があります。

NFTを買ったタイミングで!?

はい。イーサリアムがなくなっているので。
仮想通貨の決済の差額差益になります。

はや頭がパンクです。

つまり、可能性なので断定できないですが、
・NFTを買ったときに課税がおこる
・NFTを売ったときに課税がおこる
・イーサリアムを円に替えるときに課税がおこる
この3つが課税となるタイミングですね。
NFTの税金:②子どもの作品が売れたら、子ども名義で確定申告?


お子さんの絵を出品してる親御さんもいるんですが、確定申告は親子で分けるべきなんですか?

考え方は2つあります。
幼稚園とか小学校低学年とかだと、まだ子どもは「働く」ということに理解が及んでいません。
なので親で申告となってくるでしょう。
一方で子どもが自分で申告することもありかな、と。
子ども本人が申告の意味を認識してるのかが大きいと思います。

分けた方が得とか、まとめた方が損とかじゃなく「子ども自身の理解」が大事と?

たとえば子どもが絵を買いて、NFTの出品も自分でやっていたら、子どもが申告すべき。
親はまったく介入していないので。
親が介入する場合は、親の所得になる可能性もあります。

税務署に”みなされる”ということですね?

実態に課税していくので。
どっちに申告させるべきかは、実態を見ます。

たとえばNFTで副業する親が子どもの絵を出品したら、基本それは親名義の申告になるでしょう。
やっぱり申告納税制度なので、自分がこう思うというやり方で申告をして、それを税務署がジャッジすると。

税務署は税金を取りたいんです。
たとえば、親がコロナの影響で事業が赤字になった。
だから子どものNFTの収益を、赤字と相殺させて、税金を圧縮させようと親名義で申告したと。
でも実際にNFTをやっているのは、大学生のお子さん。
という場合には「赤字相殺はおかしいんじゃないですか?」となるでしょうね。

つまり実態に則して申告して、判断は税務署がくだすよ、となるわけですね。

そうなるでしょう。
NFTの税金:③仮想通貨売り上げと現金経費は相殺できるのか?


たとえば、有料の仮想通貨スクールに入って学んだことで、ビットコイン投資で儲かったとか、仮想通貨の売上と現金経費は相殺できますか?

認められるでしょう、必要経費なので。
仮想通貨で収益を上げるためにかかった書籍などの勉強代、研修費は必要経費になるでしょう。
仮想通貨は雑所得なので、経費に認められると思います。
NFTの税金:④ガス代(手数料)は経費になるか?


イーサリアムのガス代、鬼高いんですが、経費になりません?

経費になりますね。

よしゃ。
NFTの税金:⑤NFTの転売利益は譲渡所得になるの?


NFTの転売による利益は、どの所得区分ですか?

まだNFTに関する課税のルールが、はっきりしていないのが現状です。国税庁からNFTに関するルールが発表されたら、そのルールがベースの考え方になるでしょう。
現時点の税法から考えると、NFT単体の購入・転売は、「雑所得」になりそうです。デジタルアートにNFTがくっついてセットで売買される場合は、美術品の売買に当てはまり「譲渡所得」という考え方もできると思います。
2022年4月、国税庁からNFT取引に関するタックスアンサーが出ました。
» No.1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係(国税庁)

現行の税法にハメるならと。

NFTの性質上、1点物ですし、デジタルアートも「美術品」に該当すると考えるのが自然です。美術品の売却は、譲渡所得ですので、「デジタルアート+NFT」が美術品なのであれば、譲渡所得による課税が個人的にはしっくりきます。

ただ一つ気になるのは、美術品の場合、生活必需品等の譲渡によって生じたものに関しては非課税とする。(所得税法第9条第1項第9号及び所得税法施行令第25条)という規定があるのですが、NFTにも適用されるか、という点です。

「条」が長い。。。

貴金属や宝石、書画、骨董などで1個又は1組の価額が30万円以下の譲渡は、譲渡所得の申告が不要とされています。
NFTに関しても30万円以下の譲渡は、申告不要になるのか、非常に興味深いところです。
今のルールでは、30万円以下の書画は、譲渡所得の申告が不要となっています。
書画のくくりにNFTのデジタルアートも含まれるのであれば、申告不要でいいと思いますね。

なるほど。勉強になりました。
先生ありがとうございました!
疑問①:NFT作品が売れた!税金が、かかるタイミングはいつ?
→ A:買ったとき、売ったとき、円に替えるとき、課税タイミングとなる。
疑問②:子どもの作品が売れたら子ども名義で確定申告すべき?
→ A:子どもが絵を書き自分で出品していたら、子どもが申告すべき。実態に則した申告を。
疑問③:仮想通貨の売り上げと、現金の経費は相殺できるのか?
→ A:認められるでしょう、必要経費ならば。
疑問④:ガス代(手数料)は、経費になるか?
→ A:なります。
疑問⑤:NFTの転売利益は、譲渡所得になる?
→ A:現時点の税法から考えると雑所得。美術品の売買で「譲渡所得」の考え方もできる。

質問する観点がとても面白かったです!
ブログも読みやすく、とてもスラスラんじゃいました
ありがとうございます!
知りたかったことがいろいろ書かれていて助かりました。
ありがとうございます!
お役立てくださいませ!