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新聞記者に必要な資質を一つあげるなら【末期現場からの考察】

新聞記者に必要な資質をひとつ挙げるなら【末期現場からの考察】

私は某全国紙新聞社で15年間、スポーツ新聞の記者&編集者をしていました。

業界の衰退にも関わらず『新聞記者』という職業はいまだ人気のようで、私もよく聞かれます。

  • 学歴は必要なの?
  • 取材って有名人に会うの?
  • やっぱり文章がうまくないとダメ?

などなど…。

なので、今回は『新聞記者に必要な資質』を、めずらしく真面目に考えてみました。

書いているうちに気づきましたが、これから書く話は新聞記者に限らず文字を書く人すべてに必要な資質であると言えます。

新聞記者に必要な資質をひとつ挙げろと言われれば、私はこう答えます。

オリジナルを追求し続けられること、と。

新聞記者に必要な資質をひとつ挙げるなら【末期現場からの考察】

新聞記者に必要な資質をひとつ挙げるなら【末期現場からの考察】

少し噛み砕きます。

『オリジナルの追求』とは、他社の記事とはカブらない『独自ネタを追い続けること』です。

キレイに書けるとか、独特のリズムとか、文体の話ではありません。

新聞記者の『終わってる』現場

『新聞記者に必要な資質』なんてことを考え出したのは、ある先輩記者に『終わってる』現場の話を聞いたことがキッカケでした。

先輩記者の話を聞いたとき、私は編集として社内勤務していました。今、現場で起きていることを知ったときは、がく然としました。

先輩の話は、ある女子プロゴルファーを囲み取材(※各社一斉に取材をすること)していたときのものです。

取材をしているそばから、もうカタカタとネット速報を上げる人間がいる(当然、この人間は質問などしない)。
↓↓↓
取材を終えて、デスクに内容を報告する。
↓↓↓
デスク「ネットで出てる話、オモロイな。部長もOK言うてるし、このテーマで書こか」

こんなことが起きているわけです。

現場記者の必要性が

つまり、これ記者要らないですよね?

だってネットにあがっていることを書くんだから。

この話の『終わってる』点は下記の2点。

  • 質問もせずに他社の取材頼みで、我先にと記事を書く人間の存在
  • 報告について『ネット>現場』なデスク(または会社)の存在

では、こういった状況になっている今の末期現場で記者がどう存在意義を出すかといったら、オリジナル原稿を書くこと以外ないんです。

新聞記者に必要な資質:オリジナル原稿を生み出す方法

新聞記者に必要な資質:オリジナル原稿を生み出す方法

新聞記者がオリジナル(独自)な原稿を生み出す方法は、たった一つです。

新聞記者は取材しかない

取材しかありません。

囲み取材を受けるような人物と『1対1』(※ピン取材なんて言います)を作ることが難しければ、「他をあたる」手があります。

私はずっとスポーツ畑だったんで、その分野の例えになりますが

  • 兄弟
  • 親戚
  • 監督
  • コーチ
  • 恩師
  • 友人
  • 同僚
  • メーカー
  • マネジャー
  • トレーナー
  • 所属先
    etc…..

取材対象はいくらでもあります。

どうしても本人にアタックしたければ、電話取材という手もあります。

新聞社の取材網というのは、やはりなかなか強力なものがあります。先輩記者が連絡先を知っていたり、マネジャーを通したりしながら電話でピン取材に持っていくことは、そう難しいことではありません。

少しのエッセンスで「独自」に

新聞記事の執筆は、1日も休ませてくれません。

毎日毎日、ネタから何から何までオリジナルというのは、ちょっと現実的ではありません。

ですが、他の新聞記事とほぼ横並びの中で、一部分でも『自分しか聞いていない親の話』などエッセンスが入ればオリジナル原稿です。

この『独自を求める姿勢』こそが新聞記者に必要な資質かな、と

新聞記者の朝は『品評会』から

ちなみに新聞記者の朝は、他紙と比べての”品評会”から始まります。

自分の書いたネタによって『性質→気分』で分けると、下記のようになります。

  • 独自→ムフフ♪
  • 横並び→しょうもな
  • 落とし→無言で青ざめる
    (※落とし:他紙に載っている重要なことを書けていないこと)

この品評会によって、新聞記者の1日の気分はまったく違ったものになります。

私も経験がありますが、特落ち(特別重要なニュースを落とすこと)で朝5時にデスクからの電話で起きたなんて日は、1日生きた心地がしませんでした…。

精神的にも独自ネタを求め続けるような人間でないと、新聞記者でいること自体が難しくなりますね。

新聞記者に必要な資質をひとつ挙げるなら【末期現場からの考察】:まとめ

新聞記者に必要な資質をひとつ挙げるなら【末期現場からの考察】:まとめ

私はもう退職しましたが、『新聞記者』であれたことは今でも誇りに感じています。

普通、経験できないことが、いっぱいできましたから。

本記事が少しでも、これから新聞記者を目指す方の参考になればうれしいですね。

今回はこの辺で!